校長室より  校長 鈴木 斎 

 

2019年8月27日 令和元年度2学期始業式 式辞

 みなさん、おはようございます。充実した夏休みを経て、心身ともにさらにたくましく成長した皆さんとともに、令和元年度第2学期をスタートできることを大変頼もしく、またうれしく思います。

 今年の夏、第101回全国高等学校野球選手権には、宇和島東高校がノーシードから愛媛県大会を勝ち抜き、愛媛県代表として出場しました。決勝戦の翌日、7月31日の愛媛新聞には、母校を率いて甲子園出場を決めた長滝(ながたき)剛(たけし)監督が取り上げられていました。その記事の中で、彼は何度も選手に言い続けた言葉としてこんなことを述べていました。「落ちているごみを拾ったり、落ち込んでいる仲間に声を掛けたり、当たり前のこともできない選手が甲子園に行けるわけがない」皆さんは、「ごみを拾ったり、落ち込んでいる仲間に声を掛けること」と「甲子園に行くこと」は何の関係も無いように思うかもしれません。でも、人間は、いい加減な努力しかしていないときには、「自分一人の力で大きくなった、自分一人の力で生きている」、そんな錯覚に陥りがちですが、本当に努力しているとき、本当に一生懸命なときには、「自分がたくさんの人に支えられて生きていること」に気づくものです。彼は、もし本気で甲子園を目指して努力しているのであれば、流した大量の汗と涙の対価として、自分がたくさんの人達に支えられていることに気づくことができ、そして、落ちているごみを拾ったり、落ち込んでいる仲間に声を掛けたり、そんな当たり前のことができるようになるはずだと言いたかったのだと、私は思います。

 何かに一生懸命に取り組んだ人は皆、口をそろえて、「その何かに育ててもらった」という言い方をします。私はこれまでいろいろな学校で、いろいろな生徒の皆さんと出会いましたが、高校時代に何かに一生懸命取り組んで、その何かに育てられ大切なものを手に入れた人達をたくさん見てきました。ある女子生徒は、受験勉強に一生懸命取り組みました。志望校に合格し高校を卒業するときに、彼女は後輩達にこんな言葉を残しました。「3年生の夏休み、補習がないときも毎日早朝に登校し一日中勉強しました。時間だけが過ぎていき、いくらやってもできるようにならない日々が続き、心が折れそうになりました。それでも、毎日母が作ってくれるお弁当に申し訳なくて、頑張り続けました」彼女は受験勉強に育てられ、自分の弱さに気づき、そして、お弁当を作ってくれる人への感謝の気持ちや思いやりの心を身に付けることができたのです。本気で、一生懸命に頑張れば、結果に関係なく、成功しても失敗しても、勝っても負けても、必ず手に入る、大切なものがあります。

 2学期には、運動会、修学旅行、文化祭などの学校行事、部活動では新人戦や高文祭などが行われます。3年生の皆さんは、いよいよ進路実現本番の時期を迎えます。皆さん一人一人が、それぞれの何かに一生懸命に取り組むことによって、その何かに育てられ、皆さんがこれからの人生を生きていく上で大切なものを手に入れることを期待して、式辞といたします。


2019年7月19日 令和元年度1学期終業式 式辞

 みなさん、おはようございます。

 1学期のみなさんの学校での生活は本当にすばらしかったと思います。良い点はたくさんあるのですが、今日は2点だけ触れたいと思います。1点目は、「挨拶ができること」です。学校のあちらこちらから、毎日気持ちのいい挨拶が聞こえてきました。2点目は、「人の話をきちんと聞けること」です。授業はもちろん、1学期には、開校記念講演、卒業生によるキャリアガイダンスなど、「人の話を聞く機会」がたくさんありましたが、きちんとした態度でしっかりと耳を傾けることができていました。「挨拶ができること」「人の話をきちんと聞けること」この2つは、一人では生きていくことのできない人間という生き物にとって、最も大切なことだと、私は思います。是非、これからも続けてください。

 さて、令和元年度第1学期を終了するにあたり、私が以前巡り会った、ある陸上部員の朝練習について紹介したいと思います。彼は、走り高跳びが専門の選手でした、毎日早朝に登校し、体操服に着替え、そして走り高跳びのバーをセットします。具体的に何センチにセットされていたのかは分かりませんが、彼は自分の身長より高いバーを、ただじっと見上げていました。来る日も来る日もただバーをじっと見上げる。そんな朝練習でした。おそらく彼は、毎朝、自分が目標とする高さのバーを見上げることによって、その高さを自分にとって見慣れたもの、普通のものにしたかったのだと思います。言い換えれば、彼の感覚の中で、「昨日までの自分が絶対に跳び越えることができないと感じていた高さ」を、「もしかしたらいつか跳び越えることができるかもしれない高さ」に変えたかったのだと私は思います。

 みなさんはそれぞれ、進路も部活動も趣味も違いますが、それぞれが選んだ道で、高い目標や夢を持ってみてはどうでしょうか。そのためには、彼が毎朝、自分の身長よりも高いバーを見上げることによって自分自身の中の心の壁を取り払おうとしたように、みなさん自身が、それぞれの未来の自分の理想の姿を何度も思い浮かべることによって、みなさん自身の中にある心の壁を取り払う必要があります。みなさんの感覚の中で、「絶対に手が届かないと考えていたもの」を、「もしかするといつか手が届くかもしれないもの」に変える必要があるのです。

 そして、目標や夢が持てたなら、後は努力するのみです。現在、アメリカメジャーリーグ、シカゴカブスで活躍しているダルビッシュ有選手は、高校時代を振り返り、次のようなことを言われています。

「土、日の休みが消え、夏休みが消え、冬休みが消え、友達が遊んでる時に練習してた。だから今がある」

 みなさんは全員、みなさんの周りの人達、あるいはみなさん自身も想像できないほどの豊かな可能性を秘めた存在だと私は思います。本校校歌にあるように、みなさんが、「大いなる希望に燃えて」、充実した夏休み、そして高校生活を送ることを期待して、式辞といたします。


2019年4月8日 平成31年度入学式 式辞

 校庭の桜や草木に春の息吹が感じられる今日の佳き日に、多くのご来賓の皆様、保護者の皆様のご臨席を賜り、かくも厳粛に、平成31年度愛媛県立土居高等学校入学式を挙行できますことは、教職員一同の大きな喜びであります。

 ただ今、入学を許可いたしました99名の新入生の皆さん、入学おめでとう。本校への入学を目指して、皆さんが日々積み重ねてきた努力に対して心から敬意を表し、皆さんの入学を祝福し、そして歓迎いたします。

 また、保護者の皆様におかれましては、立派に成長されたお子様の晴れ姿に、感慨もひとしおのことと拝察いたしますとともに、衷心よりお慶び申し上げます。

 さて、新入生の皆さんが、高校生としての記念すべき第一歩を踏み出すに当たり、日米プロ野球で活躍された松井秀喜選手が、高校時代に当時の星稜高校野球部監督山下智茂氏から送られた言葉を紹介します。

  心が変われば行動が変わる

  行動が変われば習慣が変わる

  習慣が変われば人格が変わる

  人格が変われば運命が変わる

この言葉は、「自らの意志で/積極的に良い習慣を作ることこそが、自らの人生をより充実させるための鍵である」ということを述べています。たとえば自らの意志で挨拶をする、自らの意志で履き物をそろえる、自らの意志で時間を守る、自らの意志で身だしなみを整える、自らの意志で学業や部活動に励む、自らの意志で家庭や地域の一員としての役割を果たす、そういったことを自分にとって当たり前の習慣にすることができれば、結果としてより良い人生を歩むことができるということを教えてくれています。キーワードは、「自らの意志」という言葉です。皆さんは中学校までの9年間の義務教育を終え、自らの意志で、ここ土居高校で徳・知・体のバランスの取れた社会に通用する人間に成長しようという「自らの意志」を持って、本校に入学してくれました。その初心を決して忘れることなく、それぞれの夢や目標に向かって、一歩一歩着実に歩みを進めてください。本校には、皆さんが成長するためのたくさんの機会や出会いが準備されています。どうか、その一つ一つの機会、一つ一つの出会いを大切にしてください。

 終わりになりましたが、保護者の皆様、本日をもちまして、お子様は本校の生徒となりました。皆様がこれまで手塩にかけて大切に育てられてきたお子様のさらなる成長は、保護者の皆様、地域の皆様、そして私たち教職員全員の共通の願いです。お互いのお互いに対する理解と信頼を子どもたちの成長を後押しする大きな力に変えて、誠心誠意、全力で教育活動に取り組んでいく決意でございますので、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 新入生の皆さんが、今日の感激を忘れることなく、心身ともに健康に、有意義な高校生活を送られることを期待し、式辞といたします。


2019年4月8日 平成31年度始業式 式辞

皆さん、おはようございます!

平成31年度第1学期をスタートするにあたり、皆さんに、“命屋”という詩を紹介したいと思います。この詩は、小学校3年生の男の子が書いたものです。“命屋”の“屋”は、おもちゃ屋、文房具屋の“屋”です。つまり“お店”を表す“屋”です。ですから、“命屋”というのは、命を売っているお店ということになります。

読み上げます。

「“命屋”さんがあればいいね でも 命を買い替えられたら みんな一生懸命 生きないかもね そしたら つまらない人生になるね」

繰り返します。

「“命屋”さんがあればいいね でも 命を買い替えられたら みんな一生懸命 生きないかもね そしたら つまらない人生になるね」

この詩を書いた小学校3年生の男の子は、一方で、命を売ってくれるお店があるといいな、と思いながらも、もしあった場合に、みんながいい加減な生き方をしてしまうから、みんなの人生はつまらないものになってしまうと考えています。

ゲームの世界では、最初から命が複数与えられていたりすることもありますが、それはあくまでゲームという架空の世界の中でのことであって、私たちが生きている現実の世界では、私にも、そして皆さんにも、それぞれ命は1つずつしかありません。

だからこそ、誰もが、そのたった1度の人生の中で、自分がやりたいことを実現したい、たとえば、部活動で、県大会、四国大会、全国大会に出場したい、あるいは、進路実現において、自分の希望する大学、短大、企業に合格したいと願うわけです。では、どうすれば、私たちは、自分のやりたいことを実現することができるのでしょうか。

そのことに関して、コンビニエンスストア、ローソンの元社長であり、現在は、サントリー株式会社の代表取締役社長としてご活躍されている新浪剛史(にいなみたけし)さんが、あるテレビ番組で、こんな風に述べられていました。

「“やりたいこと”っていうのは、一人じゃできないんです。絶対に。いろんな人の協力が必要なんですね。“礼儀正しい”ほうが、好感が持てるでしょ。好感が持てるからいろんな人に助けてもらいやすくなる。そうやって、人に助けてもらえるから、自分のやりたいことが実現するんです。」

自分の夢や目標を実現するのは、もちろん自分自身です。しかし、周りの人たちの協力がなければ、その夢や目標は決して実現しません。

誰にでも笑顔で挨拶をする、人の話をきちんと聞く、友達を大切にする、たった一つしかない自分や他人の命を大切にする、この土居高校という素晴らしい環境の中で、皆さんが、そんな、礼儀正しい、思いやりのある、それぞれのやりたいことを実現できる人間に成長することを期待して、式辞といたします。